きゃりーぱみゅぱみゅさん新曲MV制作にダンボールアーティストとして参加しました!

きゃりーぱみゅぱみゅ きみがいいねくれたら

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きゃりーぱみゅぱみゅさんの新曲「きみがいいねくれたら」のMV(ミュージックビデオ)制作にダンボールアーティストとして参加しました。

「きみがいいねくれたら」配信リスト|きゃりーぱみゅぱみゅ

短期間ながら一流のクリエイター達とのコラボはとても刺激的で、今後のアーティスト活動にも大きな影響を与えそうです。

どのような経緯で依頼をいただき、わずかな日数でいかに形にしたのか、その舞台裏についてお伝えします。

はじまりはインスタグラムのDM

4月5日(金)、目が覚めるとインスタにDM通知が。きゃりーぱみゅぱみゅさんの新作MV用の衣装の1つでコラボできないかとのご相談。

きゃりーさんといえば、ファッションモンスター、もんだいガールなど、数々のヒット曲がドラマやCMに起用され、ワールドツアーを実施するなど活動の場は国内に留まりません。

DMでは自己紹介やMV向けの衣装制作ということぐらいしか触れられておらず、ここから先はメールでやりとりすることになりました。

失敗が許されない超短納期をクリアするために条件設定

必要なのは初期バーチャファイター風のローポリゴンデザインの衣装であるとわかりました。

厳しいのは納期が4月14日(日)ということ。DMをいただいた日を合わせて10日。納期を相談しましたが、きゃりーさんの日程的にも14日を動かすのは難しそうでした。

これほど時間がないのは何か非常事態なのかと思っていたのですが、一緒にお仕事をさせていただしたスタイリストの飯嶋さんのインタビュー記事を拝見したところ、どうやら最初からこんな感じのようで(笑)

責任を重く感じ、受けてよいものかどうか悩みましたが、諸条件を詰め、いけると判断して翌6日(土)の夜に受諾。次のような内容で確約を得ました。

  • デザイン画は月曜午前必着(可能ならさらに早く)
  • 単純なデザインであること
  • 撮影時、衣装を着用した状態で動かない
  • 彩色は、白・明るめのグレー・濃いグレーの三色のみ
  • 撮影に立ち会って、微調整を行う

材料になる新品のダンボールの納期は最短で火曜日。月曜日中にCGソフトで設計し、火曜日からはダンボールの加工を始める想定でした。

通常、衣装には丈夫な3mmのダンボールを使いますが、今回は動かない前提なので加工しやすい1.5mmを選択。

デザインは極力単純なものにしていただけるようお願いし、複雑なものは対応が難しいことを事前に伝えました。

全身衣装への着彩にはある程度の時間がかかりますが、モノトーンなら間に合うと判断。

サイズは合わせてみないとわからないため、撮影時に調整させていただくこととしました。

チャットしながら制作を進め、金曜午前に東京へ送付

日曜日に衣装のイメージがほぼ固まり、すぐにCG制作を開始。イメージは過去に作ったバーチャファイターアキラのような感じ。こちらが先方の目にとまってご相談をいただいたようでした。

衣装のデザインはスタイリストでコスチュームデザイナーでもある飯嶋さんがスケッチをおこし、監督がそれを元にローポリ風のイラストを作成。私はそちらを参考にCG制作。

作りながらCGソフトの画面をキャプチャして、関係者にLINEで確認してもらいながら、細かなデザインを詰めていきます。

衣装自体は簡単な形状で、修正も手間ではありません。月曜日に少し修正が入ったものの問題なく対応できました。

難しいのは、きゃりーさんの体型に合わせなければいけないということ。伸縮性のないダンボールでは、これがとても難しいのです。

CG空間に配置した人物データをあたりとして、サイズを検討しました。CGのデータができたら、そちらを元に展開図を作成。イラストレータでデータを調整し、レーザーカッター用に書き出し。

自宅のレーザーカッターは出力が弱く、現実的な速度でダンボールを切れないので、図面をダンボールに転写するために使用。手作業で切ります。

図面の転写が終わったら、次はダンボールを切りながら組み立て開始。組み立てながら、自分の体でフィッティング。

きゃりーさんは身長157cmぐらいで、私は172cmぐらい。性別も体格も違いますが、私の手足が通るなら、きゃりーさんでも問題ないはずと考えて、確認しました。

KPPダンボール衣装
顔は必要なかったけど出来心で作りました(笑)

山場となったのは木曜日。一通り着彩が終わって監督に確認してもらったところ、薄いグレーと濃いグレーの明度差が小さいとの指摘がありました。

妥協はできないので、濃いグレーの色を作り直して再塗装。終わったのは朝5時ぐらい。

2時間ほど仮眠してから梱包し、クロネコヤマトに持ち込んで発送。最後は徹夜しましたが、なんとか間に合いました。フー

土曜日にサイズを調整し、日曜日は撮影本番

日程を調整していただき、撮影前日の土曜午後、きゃりーさんご本人に都内某所でフィッティング。

手足のパーツは箱形状なので調整しやすいのですが、問題はジャケット部分。幅や厚みが合わなければ大幅な修正が必要。

時間はあるものの、大掛かりな修正作業を行うのはできれば避けたいです。しかし着用してもらったところ、奇跡のジャストフィット!持ってるわ〜笑

上腕と太もものパーツは長さを調整できるように最初から長めに作っておいたので、フィッティング後にカット。調整はそれだけで済みました。

翌日曜日は9時頃からAvattaというフォトグラメタリー専用スタジオで撮影。メイクさんが、きゃりーさんの顔に長時間かけてメイクを施します。

その間にスタイリストさんと最終調整し、メイク完了後、きゃりーさんが衣装を装着。ダンボール衣装も見事に着こなし、現場は大いに盛り上がります。いや〜フォトジェニック。

フォトグラメタリー撮影は3Dスキャンのようなものなので、固定姿勢で一発撮り。スチール撮影のようにポーズを変えて何枚も撮ることはありません。撮影は速やかに進みました。

きゃりーぱみゅぱみゅさんの新曲「きみがいいねくれたら」MV見てね!

さて私はダンボール衣装制作の仕事を終えましたが、MV制作はここからが本番。衣装は主役のきゃりーさんを彩る素材です。

監督が頭の中に思い描く映像を形にしていきます。そしてできあがったMVがこちら!制作した衣装が登場するのは、冒頭の格闘ゲームのようなシーンです。

MV後半にも少し衣装が登場しています。こちらはダンボールではなく、CGで。

“Low-Polygon Costume Design” として、私の名前もクレジットしていただけました。もう一生の宝物ですよ。本当にありがとうございます。

きゃりーぱみゅぱみゅさんのインスタ では、衣装を着た全身写真も公開されているので、こちらもぜひご覧ください。

追記:Twitterでも公開されてました!

楽しすぎた一流のクリエイター達とのお仕事は大きな財産

きゃりーさんを始め、監督、スタイリスト、ヘアメイク、映像制作プロダクションなど、一流の方達とお仕事ができたことは、私にとってかけがえのない貴重な経験になりました。

でも、きゃりーさんはじめ、皆さんとても気さくで礼儀正しく、やっぱり業界の一線を走り続けられる方達は人格的にも優れているなと納得。

皆さんのお陰で私もすぐに意気投合して砕けた雰囲気になり、最後までとても楽しくお仕事できました。短納期に対応したことを評価していただけたことも、とても嬉しかったです。

制作中は集中していたためか睡眠もきちんととれていましたが、きゃりーさんやスタッフの皆さんにお会いしてから数日は、深夜・早朝に目覚めて、そのまま眠れない日が続きました。

刺激的だったので、緊張の糸が切れた後でその余韻が波のように押し寄せていたのかもしれません。後日、皆さんと撮った写真を見ながら、これは現実だったんだと何度も確認しました(笑)

途中参加の私を暖かく迎えてくれた関係者の皆様には、心より御礼申し上げます。これからも一流のクリエイター達とお仕事する機会に恵まれるよう、おもしろいものを作り続けていこうと心を新たにしたのでした。いや〜楽しかった!

追記:MVについて取り上げていたメディアのリンクです。

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