ものづくりビジネスでは必須となる知的財産権について聞いてきた

tizai

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知財(知的財産権)に関する無料相談窓口があると知り、名古屋商工会議所に行ってきました。相談員の方から知財について様々なことを教えていただき、とても有意義でした。

手痛い失敗によって知的財産権の重要性を知った

私がクラウドファンディングに向けて準備していた製品は、大御所のアイデアとかぶってしまい公開を断念しました。

ものづくり地獄変!あの大御所とアイデアがかぶって大轟沈!

とても残念でしたが、この件によって知財の重要性がわかりました。

専門家に色々と聞こうと思いましたが、いきなり弁理士事務所に聞きに行くのはちょっと抵抗がありました。

どうしようかと考えていたところ、創業塾でお世話になった名古屋商工会議所の人から無料相談窓口のことを教えてもらいました。

創業塾は商工会議所が主催するイベントで、これから事業を始める人には超おすすめです。

名古屋商工会議所主催の起業家向けセミナー「創業塾」がコスパ最高で内容も超良かった

創業塾は名古屋以外の商工会議所でも開催されていますが、自治体によって内容や参加者層が異なるので、そのあたりは事前に確認するとよいかと。

ということで、事前に名古屋商工会議所の該当の窓口に電話予約をして、話を聞きに行ってきました。

知財の種類

商工会議所で聞いたお話をする前に、知的財産権について簡単に説明します。

知的財産権は、次の2つに大別されます。

  • 産業財産権
  • 著作権等

さらに産業財産権は、次の4つに分類されます。

  • 特許(発明)
  • 実用新案(考案)
  • 意匠(デザイン)
  • 商標(マーク)

著作権等については詳しく書きませんが、この中には不正競争の防止という項目があり、私のアイデアはここに引っかかりました。これについては後述します。

産業財産権のうち、私が知っていたのは「特許」「意匠」「商標」の3つでした。

今回のアイデアは「特許」といえるような発明ではないと考えていました。

また意匠といえるほどのデザイン性があるのかという疑問もありましたが、他者がそれを申請している可能性はあるので事前に特許庁のデータベースで確認しました。

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat

(null)

私のアイデアと類似した意匠は見つけられませんでした。

アイデアがかぶってしまった会社(ほぼ日)は、意匠権の申請をしていると教えてくれました。

しかし意匠が認められて、こちらのデータベースに登録されなければ検索しても情報は出てきません。

そのためタイミングによっては、類似のアイデアに関する意匠権の申請が行われていても気が付かないことも考えられるわけです。

その時点で類似の意匠を持った製品を販売してしまうのは、しょうがないことなので訴えられることはありません。

ただし製品の販売後に他者が申請した意匠権の申請が認められてしまったら、その先は販売に待ったがかけられる可能性があります。

ちなみに名古屋商工会議所で教えてもらった情報によると、意匠権申請の結果は7ヶ月程度で出るとのこと。

ほぼ日の製品は現時点ではデータベースで確認できませんでしたが、意匠権の申請から7ヶ月以上が経過していると思われ、申請した内容では意匠が認められなかった可能性があるそうです。

申請が通らなかった意匠は公表されないため、第三者が申請結果を知る方法はありません。

ならば製品を公開してよいのかというと、駄目なんですよね、これが。

意匠権の申請が通るかどうかに関わらず、知的財産権の著作権等に含まれる「不正競争の防止」という点に問題があるのです。

経済産業省のウェブサイトでは「不正競争防止法違反と言える場合とは」という項目の中で、次のように説明しています。

他人の商品が最初に発売された日から3年の期間内において、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡などする行為は不正競争行為とされています(商品形態模倣頒布行為と言います。)。

今回はデザインが似ているため模倣とみなされてしまい、すでに製品を発売しているところから訴えられる恐れがあります。

偶然の一致であることを示す客観的な根拠があれば模倣とはみなされないそうですが、そのようなものはなく、諦めざるを得ませんでした。

3年以上が経過すれば不正競争防止法上は問題はないと思われます。(実際に販売するのなら専門家に確認しますけど)

知財について教えてもらったこと

martehandy

名古屋商工会議所の窓口の方は、私の質問にすべてわかりやすく答えてくれたうえ、私が知らなかったことも教えてくれました。

私が新たに学んだことは次のとおりです。

  1. 特許庁は他国の情報も含めて特許などの確認をしている
  2. 実用新案は早期に権利を与えてもらえる
  3. 特許、意匠、実用新案は3年以内なら変更できる
  4. 知財関連の補助金がある
  5. 知財の基礎は特許庁のウェブサイトで学べる

1. 特許庁は他国の情報も含めて特許などの確認をしている

特許庁では申請された特許や意匠などについて、国内だけでなく、海外の情報も確認しているそうです。

また日本だけではなく、すべての国の該当機関がそのような対応をしているとのこと。

なぜそこまでと考えたのですが、例えば各国がそのように対応しないと、ある国で見つけたアイデアを他国で登録できてしまいます。

すると国をまたぐだけで、他人のアイデアを使って簡単に権利ビジネスが成り立ってしまう可能性があります。

そういうことはできないようになっているんですね。特許や意匠の申請に時間がかかる理由がわかった気がしました。

2. 実用新案は特許より早期に認めてもらえる

審査がある特許に対して、正式な書類さえ提出すれば無審査で認めてもらえるのが実用新案です。無審査であるため、早期に認めてもらえます。

特許の場合は審査が厳しく、また他国の情報も含めて調査が行われるため、非常に時間がかかります。

実用新案はこのような特許取得の課題を解消する意味合いもあるそうです。

では特許よりも実用新案の方が早くてよいのかというと、そういうわけではありません。

特許は権利期間が20年なのに対して、実用新案は10年。また特許がアイデアの種類を問わないのに対して、実用新案では「物品の形状・構造・組合せ」という制限があります。

製品によっては時間をかけてでも特許を取るべき、または実用新案は取れないということもあり得ます。

実用新案に関しては特許庁や特許事務所のウェブサイトなどで詳しく説明されています。

実用新案 -特許庁
実用新案について −いな音特許事務所

3. 特許、意匠、実用新案は3年以内なら変更できる

例えば特許と実用新案には、先にお伝えしたような違いがありますが、出願後に変更したい場合もあり得ます。

そのような場合、出願から3年以内であれば変更できます。特許法(第2章 出願の変更)にも出願の変更について明記されています。

このあたりは規則として覚えておきつつ、実際に変更するときは専門家に相談したいところです。

4. 知財関連の補助金や支援制度がある

中小企業や小規模事業者の強い味方が公的な補助制度です。知財関連にもありました。

まず中小ベンチャー企業や小規模事業者などを対象として、特許料や審査請求料などの減免制度があります。

特許や意匠の申請が、場合によっては数万円から数十万円も安くなることもあるため、利用しない理由はないですね。詳しくは特許庁のウェブサイトに記載されています。

中小企業向け情報 -特許庁

無料相談窓口は全国にあるため、まずは最寄りの窓口に相談しましょう。

5. 知財の基礎は特許庁のウェブサイトで学べる

知財について何から学べばいいの?という人のために、特許庁のウェブサイトでは初心者向けの説明ページを用意しています。

2019年 知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト | 経済産業省 特許庁

知的創造活動によって生み出されたもの(アイデア、デザインなど)を、創作した人の財産として保護する

主婦が日常生活の困りごとを解消するために作った製品が大ヒットなんて話を聞いたことがありませんか?

ものづくりってプロだけの世界ではないんですよね。アイデアはむしろ日常の中にあったりします。

でもそれを形にするためには知財について学ぶ必要があります。

まずは特許庁のウェブサイトの内容をしっかりと読み込んでおくとよいですね。

ウェブサイトで疑問が解消するかもしれないし、ここに書かれていることぐらいは頭に入れておいた方が窓口で相談するときも話が早いです。

ものづくりをするなら知的財産権の知識は必須

ものづくりでビジネスをするなら、知財の知識は必須ということがわかってもらえたんじゃないでしょうか。

場合によっては他人の知財を侵害することにもなりかねないわけで、知らないでは済まされません。

きちんと学んで、これからのものづくりに活かしていきます!

その後さらに詳しく知財についてまとめました
知的財産権の種類、出願方法や費用、期間などをまとめました