二重窓(サッシ)をDIYして低コストで断熱できた

二重窓作成キット

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築45年以上の一戸建ての住まいは南側はほぼ全面がガラスの引き戸で外気温の影響をもろに受け、夏は暑く、冬は寒く、光熱費も高いです。これが数年来の課題なんですが、二重窓がDIYできることがわかって設置したところ、断熱効果を発揮。光熱費も抑えられるのではないかと期待しています。(追記:光熱費削減できました!)

二重窓DIYのここがよい

  • 低コストで施工できる
  • プラスチック製だが質感が高い(光モール製のキットの場合)
  • 断熱・防音効果がある
  • 結露抑制効果が期待できる(冬場に検証予定)→大きな効果がありました(末尾の追記参照)

二重窓DIYのここが残念

  • DIYの手間がかかる(DIYが苦手な人は要注意)
  • 真夏の暑さでフレームが変形しないか心配 ← 大丈夫でした!もっとも暑い箇所のサッシが少したわみました

二重窓をDIYしようと思った理由

いま住んでいる家は築45年以上。当時としては珍しく鉄筋コンクリートで丈夫さはありそうですが、南側はほぼ全面が大きなガラスの引き戸になっていて断熱性が低いため、夏は暑く、冬は寒いです。二世帯で住んでいて、同時に複数台のエアコンやファンヒーターを利用するため、夏のピーク時の電気代は月2万円超え、同様に冬の灯油代は月3万円を超えるときもあります。

特に仕事部屋のある2階の南側は、より外気温の影響を受けやすく、数年前にはグリーンカーテンを作ってみたり、サンシェードを設置してみたりしましたが期待したような断熱効果は得られませんでした。

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過去にはグリーンカーテンで断熱を試みるも失敗

最近はサッシを変えずに単板ガラスを複層ガラス(ガラスの中に空気層がある)に変えることで断熱できると知りましたが、サッシが金属だとそこから熱が逃げるし、そもそもサッシが古すぎてあちこちに隙間があるなど、結局サッシごと変えないと意味はなさそう。

他には二重窓(二重サッシ)という方法もありますが、うちの引き戸は横3.5メートル、縦2.1メートルと巨大で、似た感じの施工事例を見ると60万円以上というものもありました。無理っす… 実際の費用はわからないけど、それだけの面積の施工を業者に頼んだら数十万円は確実でしょう。

さすがにそこまではかけられないと思いつつ情報収集していたところ、プラスチック製のフレームとポリカーボネート製の中空ボードなるものを使って二重窓がDIYできることがわかりました。

二重窓(二重サッシ、内窓)とは

「二重窓」は、既存の窓の内側に設置する別の窓のことで「内窓」「二重サッシ」とも呼ばれますが、同じものを指します。窓を二重することで生まれる空気の層によって、室外の温度変化の影響を受けにくくする効果があるそうです。

プラスチックのフレームとポリカーボネート製中空ボードで二重窓がDIYできる

YouTubeで「二重窓 DIY」などのキーワードで検索して見つけたのがこちら。プラスチックのレールやポリカーボネートの中空ボードを使って、二重窓をDIYする方法が紹介されています。

概要欄に「光モールの二重窓作成キット」なるものが紹介されており、こちらを使って二重窓をDIYしてみることにしました。ちなみに上記のYouTubeの方は、キットの説明書を元に材料を購入し、より安価に二重窓を作っていらっしゃいます。キットはしっかりとしていますが、それなりの金額がするため、コスト重視の場合はそのような方法もありかもしれません。

光モールの二重窓作成キットと中空ボードの費用

光モールの二重窓作成キットには、施工サイズごとにタイプ1〜3まで3種類のキットがあります。色はホワイトとビスケットの2種類。購入の際は間違えないよう注意しましょう。

  • タイプ1 最大施工サイズ:高920x幅1830mm
  • タイプ2 最大施工サイズ:高1845x幅1830mm
  • タイプ3 最大施工サイズ:高2200x幅2100mm 

うちの巨大な引き戸は、最大サイズのタイプ3がぎりぎり対応していることがわかり、こちらを2つ使って施工することにしました。ポリカーボネート製の中空ボードはキットに含まれていないので別途購入が必要です。

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横3.5メートル、縦2.1メートルの引き戸に対して、2100 x 910mmの中空ボードを計4枚購入。近所のホームセンターではネットよりも安くポリカーボネート製の中空ボードが販売されていましたが、サイズは縦1820mmまで。2メートル超えの中空ボードは、うちの近所では販売されておらず、ネットで購入しました。費用は次のとおり。この他にツーバイフォー材などを使っており、それらが2,000円ぐらいだったと思うので、すべて合わせると材料費は46,700円ぐらい。プラスチックフレーム、アルミフレーム、ポリカーボネートを切るためにノコギリやカッターも使うため、持っていない場合はそれらも必要です。

  • 光モール 二重窓作成キット タイプ3 x2 = 28,552円
  • ポリカーボネート 中空ボード(910 x 2100mm)x4 = 15,324円
  • 両面テープ(ニチバン ナイスタック (強力) 25mm×9m)x2 = 806円

まあまあな出費だけど、業者にお願いして本格的な窓リフォームをすることを考えれば格安。なお光モールの製品はキット以外に部品が個別販売されていますが、ネットでは一部の部品しか見つけられませんでした。部品はホームセンターなどの実店舗での販売がメインなのかもしれません。

ちなみに「光」というブランドで同様の製品が販売されていますが「光モール」の製品とは別物です。

追記:光モールの二重窓作成キットがホームセンターで激安だった(涙)

近所の大きめなホームセンターに今回購入した光モールの二重窓作成キットが販売されていたんですが…なんと価格がネットの1/3!!マジか…!もしかして今回購入していない一番小さなサイズかな?と思ったんですが、タイプ2の180cmぐらいまでの高さに対応するもの。ただし色は白と濃いめのブラウンで、私が購入したビスケットという色はありませんでした。とはいえ、ネットで1.5万が5千円とは… 近所にホームセンターがあるなら、要確認ですよ!

光モールの二重窓作成キットを部屋の間仕切りとしてテスト設置

巨大引き戸用に二重窓作成キットを購入する前に、二重窓ではなく仕事部屋と隣の部屋の間仕切りとして使う目的で、タイプ2のキットを入手。いきなり最大サイズのキットを複数購入して、イメージと違ったら痛すぎるためです。こちらは合わせて22,000円ぐらい。

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元々の間仕切りは恐らく30年以上前に設置されたと思われるアコーディオンカーテンで、上下に隙間があり、そこから隣の部屋にエアコンの冷気や暖房の暖気が逃げていました。そのカーテンを撤去して取り付けた二重窓用のキットがこちら。

二重窓作成キット
二重窓作成キットを普通の引き戸として設置

すべてプラスチック素材ということで見た目には期待していなかったものの、予想外に質感がよく、作りもしっかりしています。軽量なので開閉も楽。

タイプ2以上のサイズは、歪みを防ぐために二重窓の両側に縦長のコの字型アルミ部品が入っており、こちらも質感向上に貢献。枠の部分は両面テープで貼り付けるだけという手軽さながら、剥がれてくることもなく、この結果を受けて本番導入することを決定しました。

巨大ガラス引き戸用に光モール二重窓作成キットの最大サイズを取り付け

作ることに専念してしまい、あまり写真が撮れていないのですが…光モール 二重窓作成キットの取り付け手順は次のとおりです。各部品の寸法の出し方や詳しい取り付け方法は、付属の説明書に書かれています。

  1. 二重窓作成キット取付場所の縦・横幅を採寸
  2. 取付場所のサイズに合わせて部品と中空ボードをカット
  3. 取付場所の上下左右に窓枠となる部品を両面テープで貼り付け
  4. 中空ボードの4辺にはめ込み式の部品を取り付けてサッシを作成
  5. 戸車(車輪)を取り付けたサッシを窓枠に設置
  6. サッシに取っ手とアルミフレームを取り付け

引き戸の上部に板が壁付けされており、その板から吊り下げ方式でカーテンレールが設置されていたのですが、二重窓はその下の空間に設置するため撤去。

カーテンレール
吊り下げ方式で取り付けられていたカーテンレールを取り外す

そして新しいカーテンレールを上部の板の前側に壁付け方式で取り付け。最新のカーテンレールは軽く、また板もきちんと取り付けられていたため問題は無さそうでした。

カーテンレール
新しいカーテンレールは壁付け方式で設置

二重窓の枠を取り付けるために中央には柱が必要になります。ちょうどツーバイフォー材があったので、こちらを切って設置。上下面にはホームセンターで購入した両面テープ付きのゴムシートを貼り付けました。

ツーバイフォー材
ツーバイフォー材の上下面にゴムシートを貼り付け

ツーバイフォー材はこんな感じで取り付け。下側を固定しておらず、上面はタンス転倒防止金具が余っていたので、そちらで固定。壁付けされた板の支えにもなり一石二鳥。写真ではすでに二重窓も取り付けてあります。

ツーバイフォー材
ツーバイフォー材は上部のみ金具で固定

二重窓取り付け後の全体写真。2メートル超えの中空ボードは、外から見えにくくするために間仕切り用と同じ乳白色がよかったのだけど見つけられず、透明のものを選択。中空ボードはプラスチック板の縦方向に対して等間隔に穴を開けたような構造となっており、透明でもすりガラスのように見えにくくする効果があり、結果的には問題ありませんでした。

光モール 二重窓作成キット
透明でもすりガラスのような効果があったポリカーボネート中空ボード

二重窓DIYをするときの注意点

二重窓作成キットはプラモデルのようなもので、部品を切って組み立てて取り付けるだけ…というと簡単そうに聞こえますが、今回は最大サイズのキットを使ったため結構な手間で、採寸から設置までに丸一日かかりました。間仕切り用としてタイプ2のキットを設置しており、作業段取りなどはわかっていてもこれだけかかったということです。IKEAなどの組立家具がうまく組み立てられない…というぐらいのDIY力だと結構大変かもしれません。

プラスチックやアルミフレームはそれなりの強度があり、切るためにはのこぎりが必要。ポリカーボネートの中空ボードはカッターで切れますが、大きなサイズなら、それを床置きして切るためのスペースも確保しなくてはいけません。また寸法はキットの説明書通りにすればよいとはいえ、切りすぎると元に戻せないので、実際には少し大きめに切って微調整ということも行いました。これもやはりサイズが大きいと地味に手間がかかります。

二重窓DIYは、業者にお願いしてやってもらうような本格的な二重窓と比べて大幅なコストカットができるというメリットはありますが、特にサイズがが大きい場合、DIYには結構な手間がかかることは頭に入れておきましょう。

あと今回の二重窓作成キットは枠の部分を両面テープで貼り付ける前提ですが、場所によってはテープが貼りにくかったり、逆に剥がれにくかったりすることが考えられるので、この点も注意ですね。

温度計で二重窓の断熱効果を確認

見た目は上々だけど、肝心なのは断熱効果。二重窓を設置したのは2022年4月の前半。日中はTシャツに薄手の上着ぐらいで過ごすことができ、夜はフリースなどを羽織りたくなるような肌寒さ。外気温は昼は20〜23℃ぐらいで、夜は14〜17℃ぐらい。二重窓とサッシの間にできた空間に温度計を入れて30分でどれぐらい温度が変わるかを測定してみました。

まず午前11時半〜12時ぐらいの測定結果。左が測定前の室温で20℃、そして二重窓の内部に入れて僅か30分で温度は44℃まで上昇!湿度も30%から0%になりました。

二重窓効果測定
午前11時半頃に二重窓の内部に入れた温度計は30分で40℃超え

続いて同様の測定を夜8時頃にも実施。今度は30分で6℃ほど温度が下がる結果に。外気温の影響を確実に和らげていることがわかりました。ポリカーボネート製の中空ボード自体も、その内部に空気が含まれているため、より高い効果が出ていると考えられます。

二重窓効果測定
夜8時からの30分では20℃から14℃ぐらいに

DIYした二重窓が断熱効果を発揮、光熱費抑制にも期待

二重窓の効果は断熱以外に防音や結露抑制というものがあります。防音に関しては、外の音が全く聞こえなくなるわけではないし、最初はそれほど効果は出ていないかなと感じました。しかしいつも聞こえてくる近所の人の会話音量が少し下がって聞こえたりするなど、少し聞こえにくくなっている感じはします。あまり劇的な変化は感じられてはいません。

結露抑制に関しては冬場にならないとわかりませんが、毎シーズン、滴るほどの結露があるので、これが軽減されることに大いに期待。

1つ心配なのは、猛暑でプラスチックのフレームが変形してしまわないかということ。Amazonのレビューでそういうことを書かれていた方がいらっしゃるんですよね。こればっかりはその時期を迎えてみるまではどうなるかわかりません。無事を祈る…(追記:下に追記していますが、最も暑くなる南西のサッシは熱で少したわみました。使用上、問題となるような変形ではありません。

いまは過ごしやすい時期なので、夏の猛暑や、冬の極寒時にどれぐらいの効果を発揮してくれるかはまだわかりませんが、温度測定の結果から外気温の影響を抑制できていることがわかったので、冷暖房の効きがよくなるのではないかと期待しています。結果は本記事に追記していく予定です。

追記:遮熱効果抜群で冷房の効きが劇的に向上!電気代は変わらず

夏場もフレームの変形はありませんでした!ただ、たまに両面テープで貼り付けたレールが剥がれることがあります。気になる場合はネジ止めという方法もありますが、剥がれたところも何度も押し付けているうちに剥がれにくくなるので大きな問題は感じていません。

目に見えるようなフレームの変形はなく、問題はないと思っていましたが、実際には南西部のもっとも暑くなる箇所のサッシ1枚が少したわんでいました。熱による変形と考えられます。アルミの補強はありますが、本体はプラスチックだし、高さが2メートルぐらいあるため、真夏の暑さにさらされ続けると多少の変形はあるのかなと。開閉時に引っかかりのようなものが生じていますが、頻繁に開け閉めすることもないので特に問題は感じていません。

遮熱効果は抜群で、これまで二重サッシがなかったことが信じられません。サッシを開けると熱気がモワッと入ってきます… お陰で冷房の効きは抜群によくなりましたが、残念ながら電気代はほとんど変わりませんでした。

追記2:結露は大幅に抑えられ、灯油代も削減できた

冬場の結露抑制は期待通りでした。外との温度差が大きいときに二重サッシが少し結露することがありましたが、水滴が窓枠に垂れるような結露はなく、拭き取りも簡単でした。

二重サッシの結露

二重サッシ施工後の窓の結露はこの程度。直接拭き取らなくても、日中になって外気温が上がっていくと自然になくなってしまいました。昨シーズンまでは水浸しになった布巾を絞り、何度か窓を拭く必要があったことを考えると負担はかなり軽くなり、快適です。

二重サッシ施工後の窓の結露

実際に使ってみて初めてわかったのは、サッシの戸車(車輪)やレールに埃がたまるということ。写真は埃をとった後です。開閉時に引っかかりを感じて確認したところ、もっさりと埃がたまっていました。サッシの取り外しは簡単なので、年に2〜3回程度、掃除を行えばよいと思います。

二重サッシの戸車にはほこりがたまる

二重サッシによって仕事場の気密性が高くなった結果、夏場に冷房の効きがよくなったのと同様、冬場の石油ファンヒーターも非常に効きがよくなりました。真冬であっても、晴れていると部屋が温室のように暖かくなります。結果として、11〜3月の灯油代は昨シーズンよりも月あたり2,000円ほど安くなりました。