ダンボール製組み立てブロック スバコ開発経緯や製品に込めた思い

スバコ

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ANA WonderFLYクリエイティブアワード

ファイナリストとなった独自開発のダンボール製組み立てブロック「スバコ」を、どのように生み出したのかを書きました。

独立時に考えていた独自製品がようやく形になった

ダンボールアーティストとして独立すると決めたときから、独自製品を作って販売するという計画がありました。

一点物のダンボールアートは、それほど引き合いがあるわけではありません。生計を立てるために、需要のある独自製品を開発しなくてはと考えました。

とりあえず何かを作るというだけなら簡単だったかもしれないけど、作るからには意味のあるものにしたいという思いがあったんですよね。まあそう簡単にそんなものは浮かびませんよね(笑)

独立翌年には独自製品を考案し、クラウドファンディングに挑戦する一歩手前まできましたが、前回も書いたとおりアイデアが他社とかぶってしまい終了。

marte05 ものづくり地獄変!あの大御所とアイデアがかぶって大轟沈!

しかしクリエイティブ系の仲間のお陰で昨年から新たな製品の開発が始まり、試行錯誤を繰り返して、ようやく形になりました。

開発期間は数ヶ月と短めでしたが、これは数年に渡る情報収集や研究の成果です。

なぜ紙製の製品は小さいのか

独立前後から、紙製の製品に関する情報収集を開始。購入したものも多くあります。そこで1つの共通点を見つけました。

「紙製の製品は小さいものが多い」

ということです。次の2点が製品を小さくする理由ではないかと考えました。

  • 流通コスト
  • 保管コスト

流通コスト(宅急便の送付料金)は製品のサイズが大きくなるほど増します。

同様に大きな製品は倉庫の場所を占領してしまうので保管コストがかかり、小売店が扱いづらいです。

紙製の製品は安価なものが多く、1個あたりの利益は小さいため、サイズが大きなものは割に合わないと考えられます。

そのため、子ども向けのダンボールハウスのような大きなものはネット販売が主体で、小売店では取り扱いが少ないはずです。

退職するときにお世話になった取引先にダンボールで独立というわけのわからないことをお話したときに「実は過去に子ども向けのダンボールロボットを作った」という貴重なお話を聞く機会がありました。

子どもが着られるダンボールロボットは評判もよく、メディアでも取り上げられ、意匠登録までしたそうですが、大きすぎる荷姿から小売店の反応が渋く、結局販売を終了したそうです。

このお話は製品サイズの重要性を私に教えてくれました。とても感謝しています。

どうやって手間と費用を抑えるか

独自製品の開発・販売を行うためには、次のようなことを考えなくてはいけません。

  • デザイン・設計
  • 量産
  • 知的財産権(意匠と商標)
  • 宣伝
  • 受発注・製品送付

これらをどうやって1人で行うのか、自分でなくてはできないことはなにか、どうすれば労力を最小限にできるかを徹底的に考えました。

デザイン・設計は、当然、私でないとできません。ただ種類が多いと時間がかかるので1種類が理想。

量産は個人で行うには労力がかかりすぎるので外部委託する前提。そのためには工場の生産設備で加工できるデザインにしなくてはいけません。

知的財産権は、取得方法を調べて自分で出願という選択肢もありましたが、弁理士に依頼した方が間違いもないし、時間も節約できるので、お金で時間を買うのが合理的と判断。

宣伝はオンラインとオフラインがあります。オンラインはブログ(自身のブログや友達のブログへの掲載依頼)、予算があればリスティング広告やFacebook広告など。オフラインの宣伝は全国でワークショップなどができたらいいかなと。

受発注と製品送付は労力がかかるため、基本は卸売り。もしもオンライン販売を行うなら、FBA(フルフィルメント by Amazon)のようなサービスを利用。

FBAを使うとAmazonの倉庫に製品を保管してもらうことができ、受発注から送付までお任せできます。在庫だけ確認しておいて、足りなくなったら補充するだけです。

ちなみにFBAのようなサービスは他にもあるので、もっと安価なものもあるかもしれません。

まとめると次のようになります。

  • デザイン・設計 → 自分(1種類だけなら1度で終わり)
  • 量産 → 工場に委託
  • 知的財産権 → 弁理士に依頼
  • 宣伝 → 自分
  • 受発注・製品送付 → 卸売りまたはFBA

こうすれば、自分自身の労力を最小限に抑えつつ、製品を開発・販売できるはずです。

あとは製品のアイデアを考えるだけだ!ってなってから数年かかったよね(笑)

既存の紙製品にはない付加価値を考える

既存の紙製品は、どれも小さい。しかし大きな製品は流通や保管にコストがかかる。

コストを抑えつつ、大きなものが作れたら、付加価値になるかもしれない。でもどうやって?

そうやって辿り着いたのがレゴブロックのようなアイデア。1つの部品は小さいけど、ブロックを組み合わせれば大きなものが作れます。

ダンボールでそのような製品はあるのかを探してみたところ、そのまんまレゴのようなものや、少し複雑な形のものがありました。

私が実現したいと思ったのは、上下左右どの方向にでもつなげられるもの。最小単位が立方体なら、あらゆる形を作ることができ、いっぱいつなげば大きなものも作れます。

「レゴブロックのようなもの」というアイデアは持ちつつ、一体どうやって実現したらよいのかは思いつかないまま、温めていました。

ダンボール製組み立てブロックを形にするための試行錯誤

2017年の後半、クリエイティブ系の仲間との集まりがきっかけで温めていたダンボール製組み立てブロックを形にすることに。

ダンボールで立方体を作り、上下左右どちらからでも組めるようにする。単純だけど、どうやればいいのかはわからない。

最初に作ったのはこんな形。デザインが洗練されていないし、接合が緩い。形を変えてみるが、中々うまくいかず。
スバコの試作

一応、組み合わせて形にはしてみるが、組み立ても大変だし、すぐに崩れる。全然ダメ。
スバコの試作

幾つか作って、完成形に近づいてきたところ。でも、まだまだ甘い。
スバコの試作

ミリ単位で調整を繰り返します。
スバコの試作

ある程度、形になってきたところでクリエイティブ仲間の定例会に持ち出し、感想を聞いてみたり。大人が結構夢中になってて、形を作り始めると話をしなくなってた(笑)
スバコの試作

正確には覚えていないけど、試作品は100回ぐらいは作り直したと思う。そうやって、ようやく形になったところで弁理士に依頼して意匠出願し、ダンボール加工を行う工場に試作を依頼し、見積もりもいただきました。

ダンボール製組み立てブロック スバコの特徴

このように試行錯誤の末に生まれたスバコには、次のような特徴があります。

  • 軽い
  • 小さい(荷姿が小さい)
  • 安全
  • 加工しやすい(切ったり、貼ったりできる)
  • デコれる(マスキングテープやシールなど)
  • 色が塗れる(絵の具や色鉛筆、マジックペンなど)
  • 様々な形にできる
  • 安価に提供できる
  • リサイクル可能

スバコは、組み立て前は板状なので、数個だけなら封筒に入れて送れるぐらい省スペース。

また流通コストを考えて、箱のサイズは宅急便の60サイズでデザインしています。そのサイズ内に板状のスバコが30〜40個は収納可能。

知育玩具という位置付けではありますが、大人も夢中になれることは実証済みです(笑)

ダンボール製(紙製)なので、自分で新しい部品を作ることもできるし、トイレットペーパーの芯やティッシュ箱など、あらゆるものと組み合わせて自由に形を作れます。

「スバコ」という製品名は、「鳥の巣箱」と装飾のない「素の箱」をかけていて、鳥の巣箱が命を育むように、素の箱が想像力を育むようになればという思いを込めました。

WonderFLYクリエイティブアワードに寄せられたアイデアは素晴らしいものばかりですが、これに関しては私が一番考えているかもということがあります。それは製品に対する最終責任です。

いまの世の中には素晴らしい製品が溢れています。しかしその多くが利益を上げることにばかり注目していて、役目を終えた製品が最終的にどうなるか(多くが粗大ゴミになる)については関心が低いと感じます。

すべての製品が100%リサイクルできるわけではないし、リサイクルできない(しにくい)製品が悪いというわけではありません。

私も仕事ではパソコンやスマートフォンが欠かせないし、それらは否定しませんが、少しだけでもどうにかできないかなという思いは常にあります。

そんな思いもあって、ワンコ散歩のついでにゴミ拾いなんていう1人ボランティア活動も1年半以上続けています。

ゴミ 一年間、ゴミを拾いながらどうやれば減らせるか考えてみた

スバコはダンボール製なのでリサイクル可能。多くの人に受け入れられたら、ほんの少しだけでもゴミを減らせて、環境負荷も下げられたりしないかななんて考えています。

製品の売り出し方を考えていたときにANAのクリエイティブアワードを知り応募、ファイナリストに

このような経緯で形にした製品をどうやって売り出そうか考えていたときにANA WonderFLYクリエイティブアワードを知り、応募したところファイナリストに選ばれました。詳しくは前回の記事をご覧ください。

subako ANA WonderFLYのクリエイティブアワードでファイナリストに選ばれました!

WonderFLYクリエイティブアワードは、企画・開発中の製品でもよいとのことで思い切って応募。時間をかけて考えてきたものが、どのように評価されるのか不安もありましたが、結果はファイナリストということで少しホッとしました。

しかし本番はここから。ファイナリストに選ばれたのは名誉なことだけど最終選考に残ったという段階なので、まずは受賞を目指します。

ということで、WonderFLYクリエイティブアワードの投票は引き続き行われているので、よろしければスバコに投票をお願いします!

追記:

【御礼】ANA WonderFLY クリエイティブアワード(長い)の投票が終了しました。皆様のお陰で得票数トップ!スバコへの投票やお気遣い、本当にありがとうございました。