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さて、週末に開催された菊地さんのハイエンドエフェクトCGの講演ですが、満席でキャンセル待ちも出るほどの大盛況。
お話の内容も期待通りの面白さで、CGに関して技術的に詳しくない人でも十分に楽しめるものでした。
Table of Contents
菊地さんの講演についての情報
菊地さんは国内外の大手プロダクションでエフェクトアーティストとして活躍されていて、ILMという大手プロダクションでもお仕事をされています。
ILM (Industrial Light & Magic )
今回の講演については、本ブログで簡単な事前告知をしているのでそちらをご覧ください。
【講演】「ハイエンドエフェクトCG制作の現状」2015年5月23日に名古屋で開催!!
講演の内容は、mokoさんが非常に詳しくまとめられています。参加できなかった方、興味のある方は必見です。まるで議事録のような詳しさです(笑)
mokoさんはゲームのエフェクトデザイナーとして活躍されていて、共著で書籍も出版されています。
講演中には、いわい(@iwai)が #vfx_nagoya というハッシュタグで実況もしており、togetterでまとめてみました。こちらもご参考まで。
菊地蓮さん「ハイエンドエフェクトCG制作の現状」講演のまとめ
講演の中で少しだけ告知の時間をいただき、宮野さんからはハリウッドで活躍されている片桐さんの彫刻セミナー、いわいからは主催するCG勉強会「Chubu3D(中部3D)」の宣伝をさせていただいたのでご紹介します。
片桐裕司さんの彫刻セミナー
彫刻セミナーは、ハリウッドの第一線で活躍しているキャラクターデザイナー・造形家の片桐さんが直接指導を行うセミナーです。
片桐さんは、先頃、Kickstarterで自身が監督する映画のために出資を募り、プロジェクトは見事成功しました。こちらも期待が膨らみます。
彫刻セミナーは、昨年いわいも参加させていただきましたが非常に得るものが多かったのでおすすめです。
片桐さんの彫刻セミナーはすべてのクリエイターにおすすめできる最高の内容だった!!
ハリウッドで活躍するキャラクターデザイナー 片桐裕司による彫刻セミナー
CHUBU 3D – 中部圏で開催するCG勉強会
CHUBU 3Dは、いわいが主催しているCG勉強会です。勉強会と言っても割と緩めな感じなのでCGや映像に興味がある人なら誰でも参加できますし、楽しんでもらえると思います。
ご興味があれば、一度ウェブサイトをご覧ください。
CHUBU 3D – C3Dは中部圏を中心に3DCGを勉強する人達の集まりです!!
告知のために貴重なお時間をいただけましたこと、改めて、菊地さん、岩田さん、セミナー参加者の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。
菊地さんのお話で印象に残ったこと
講演は菊地さんの経歴紹介に始まり、「VFXってなに?」というようなCGにそれほど詳しくない人でも理解できるような丁寧なご説明から始まりました。
CG制作について詳しい人達の方が、より深くわかるだろうなというお話も当然ながら多くありましたが、CGソフトの使い方を教えるようなセミナーでは無かったのでCGに詳しくない人達も理解はしやすかったと思います。
講演の内容については、mokoさんの記事をご覧いただくとして、本ブログではそちらに書かれていないことや、印象に残ったことをいわい個人の所見として書きました。
ILMに至る経緯から垣間見えるコミュニケーション能力の高さ
ILMはCGを生業にしている人や、それを目指している学生なら誰もが知っている超有名なプロダクション。
実力も必要ですし、誰もが到達できるところではありません。
菊地さんはカナダの学校でCGを学び、日本やアメリカのプロダクションでエフェクトアーティストとして経験を積み、知り合いの方からのご紹介によってILMでお仕事をされるようになりました。
海外のプロダクションでのお仕事は紹介で決まることが多く、いきなりポートフォリオを送っても採用される可能性は極めて低いとのこと(でも、中身はちゃんと見ている)。
信頼できる誰かからの紹介であれば、雇う側のプロダクションもリスクが低いですし、当然といえば当然ですね。
紹介する側も友達だからといって実力がわからない人を紹介してしまっては自身の信頼が失墜しますし、そこに甘さはないはずです。
今回は裏方としてお手伝いをさせてもらっていて、菊地さんともお話させてもらいましたがとてもお話しやすく、人柄の良さが伝わってきました。講演では仕事に対する真摯な姿勢も良くわかりました。
業種を問わず一線で活躍されている人達は人当たりの良い方がとても多いです。向上心もあって、人とのやりとりも円滑であればチャンスが訪れる可能性は高くなりますね。
謙虚で前向きな仕事への姿勢
菊地さんほど実績や実力もある方でも、Vimeoでうまい学生の作品とかを見ると頑張らないとという気持ちになるそうで、常に危機感を持っているとのこと。
一方で個人が持っているリファレンス(資料)や技術は惜しみなく周りの人達に伝えていて、人に聞いて出し惜しみをされたこともないそうです。
伝えることによって全体的なレベルがあがり、結果的にそれが自分の助けにもなるという考え方ということで、器の大きさを感じました。
作品の完成を決めるタイミングは「締め切り」とのこと。ものづくりをしていると、満足することは一生無いとか、そう思ったら終わりとかいいますよね。良くわかります。
海外プロダクションの環境
お話の中で「プロデューサー」「VFXスーパーバイザー」など良く聞く肩書きだけど実際に何をしているのか知らない人も多そうな役職について解説がありました。
ほとんどが技術かお金に関する決定権を持っている人達でしたが、プロデューサーとアーティストの間に入って細々とした仕事をこなすアシスタントという人達がいて、非常に重要な役割を果たしているということを初めて知りました。
大手プロダクションともなると関わる人数も多く、いかに組織全体が滞りなく機能するかというところも重要になります。アシスタントの人達は潤滑油のような役割を果たすんですね。
CGのプロダクションではありませんが、過去に所属した会社でそういった役割を果たす部署があり、やはり非常に重要でした。
こういう縁の下の力持ちであるアシスタントの人達に悪態をついていると干されてしまうようなので海外就業を志す皆様はご注意ください(笑)
海外プロダクションの環境として、その他に良さそうと思ったのはキャリアパス。
日本だとCGプロダクションの事例は知りませんが、一般的な企業ではある程度の年齢になると管理職になることが多いです。
しかし、アーティストとしてずっとキャリアを重ねたい人達にはそれを許容する選択肢があり、年齢が高くても一線でアーティストとして活躍されている方もいらっしゃるそうです。
エフェクトやるならHoudini一択
エフェクトで使用されている代表的なHoudini、Maya、3ds maxがあるそうですが、菊地さんがメインで使っているのは、Houdiniです。
Mayaは作ったものを他に持って行こうとすると大変な手間がかかり、3ds maxはFume FX、Krakatoa、Thinking Particleなどのプラグインが必要なうえにWindowsでしか動かないというような制約があります。
そんなわけで菊地さんとしてはHoudiniが一番使いやすいとのこと。
エフェクトについてはそれほど詳しくなかったんですが、Houdiniが使われていることは知っていました。
他にももっと選択肢があるのかと思いましたが、意外に少ないんですね。RealFlowは特定の分野では使われるそうですが、今はHoudiniで行けてしまうそうです。
HoudiniはApprentice版というものがあり、機能制限はありますが無料で使えます。プラグインなしで一通りのことができてしまうのは素晴らしいですね。ちょっと、使ってみたいと思いましたw
ちなみに最上位版であるHoudini FXのインディゾーンさん価格は58万円ちょいぐらい。まあ、プロ向けのツールなのでこれぐらいはしますよね。
こちらはHoudiniの製品デモ。なんか、やっぱりスゴイですね。使いこなせたら楽しそ〜
Houdini 14 Overview from Go Procedural on Vimeo.
これだけの表現力があり、Linuxにも対応していてプラグイン依存もないということで、エフェクトをやるならHoudini一択だなと思いました。
菊地さんの自宅環境はCore i7(4920?) 6コア/メモリ64GB/GeForce GTX 680で、確かOSはLinux(Ubuntu)とおっしゃってたと思います(間違ってたらごめんなさい)。これぐらいなら20万円台で組めるようです。
大手プロダクションだからといって潤沢にリソースが使えるわけではない
ILMなんて聞くと、ものすごい性能のマシンでリソースを気にせずにガンガン使えるわけではないそうです。
常に大きなプロジェクトが動いているため、扱うデータの量も膨大であり、リソースは無駄にできません。
特にプロジェクトの終盤になると容量も増えるため、古いバージョンのデータは強制的に消去されてしまうとのこと。
なぜ、名古屋でお話をされたのか(笑)
菊地さんのような方が、特に大きな会社の後援も無くお話されたことが不思議だったんでしょうかね(笑)
今回の講演はフリーランスのCGデザイナーである岩田さんが講演の依頼をされて、菊地さんがそれを快諾して実現しました。
楽しい時間を提供していただき、本当にありがとうございました。また、講演のお手伝いをされていた関係者の皆様もお疲れ様でした。
最後に岩田さんが講演にいらっしゃった方への御礼をツイートされていたので、こちらにも貼っておきます。岩田さん、お疲れ様でした!
菊地さんの名古屋講演会にご参加していただきました皆様ありがとうございます。
満席御礼にて開催の運びとなり無事終了することができました。
これもみな、ご参加いただきました皆様、お手伝い頂きました皆様のおかげです。
ありがとうございました。— IwataYasuhiro (@iwatayasuhiro) 2015年5月25日