記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
Westoneの最高級イヤホン、W80をレビュー用にご提供いただきました。ハイエンドなイヤホンが一体どんなものなのかを試してみます。
Table of Contents
高級イヤホンを理解するためのキーワード
このたびサンプリングレビューの機会をいただいたWestoneの最高級イヤホン W80は2019年3月現在、価格.comの最安価格で17万円超えというハイエンド製品。
いやいやいや、一般的には1.7万円でも高級イヤホンの部類だと思うんですが、そもそもオーダーメイドではない市販品で10万を超えるイヤホンなんてあるんですね。
今回は高級イヤホンには触れることのない一般人の視点でレビューするとはいえ、事前にその世界を知ることが礼儀と考えて、色々と調べてみました。
すると次のような聞き慣れないキーワードが。
- バランスド・アーマチュア・ドライバ
- リケーブル
- 解像度
「バランスド・アーマチュア・ドライバ(BAドライバ)」は、イヤホンの性能を左右する部品です。
人間は空気の振動を耳で受けて音を感じます。オーディオ機器やスマホなどの電気信号を振動に変換するのがBAドライバの役割。
どのドライバを選ぶか、何機搭載するか、どのようなカスタムをするかといったことがイヤホンの性能に影響するわけですね。
「リケーブル」は、ヘッドホンやイヤホンのケーブルを交換することを指しますが、一般的には音質改善が目的になっているようです。W80のような高級イヤホンは当然の如く対応しています。
「解像度」はモニターの画面を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。解像度は英語でいうと「resolution」ですが、そういえば「ハイレゾ(high resolution)音源」って聞いたことがありませんか?
音の表現でも解像度という言葉が使われるんですね。音源に忠実とか、各楽器の音がきちんと聞こえるとか、そういうものは「解像度が高い」という使われ方をしています。
ただ画面解像度はピクセル数で定量的に表せますが、音に関してはそういうことができないため、感覚的な表現といえそうです。
Westone W80に含まれるもの
W80はイヤホンとは思えない立派な箱に入っています。デザインもよいですね。
箱の中には専用ケース。
この中にイヤホン本体を始めとする次の付属品が入っています。
- イヤホン本体(ケーブルを含む)
- 取替用フェイスプレート
- イヤープラグ
- BluetoothケーブルV2と専用充電器&ケーブル
- イヤホンケース
- 説明書(英語のみ)
イヤホン本体はプラスチック製で軽量。この小さな本体の中にBAドライバが8基も入っているそうです。
ケーブルはALO社との共同開発製品。ALO社はオーディオに詳しい人達には有名なメーカーだそうで、同社のケーブルには10万円を超えるものもあります(驚)
BluetoothケーブルV2に変更することで、ワイヤレスで音楽を聞くことも可能。これはよいですね。充電には同梱の専用充電器が必要になります。
次の写真はケーブルを外したW80本体とBluetoothケーブルV2です。
遮音性が高く、音漏れしない
見た目は普通のイヤホンと変わらないW80ですが、音を聞く前に実力の片鱗が感じられました。イヤホン装着時に話しかけられたときに声がほとんど聞こえなかったのです。
ケーブルのイヤホン本体側の端に釣り針状の針金が入っていて、イヤホンを耳に固定するときにフックのようにして使います。これにより密閉感が上がって、遮音性が高くなるんですね。静かな部屋でも音漏れがほとんど感じられません。
外出時に使っている1万円以上するイヤホンでも、ある程度は音漏れするし、装着時でも周囲の音は聞こえるので、まずこの違いに驚きました。
遮音性が高いということは、余計な環境音を取り込まずに音を聞けるこということ。音楽を聞く前から大きな違いがあることがわかりました。
音がクリアで楽器の音色がきちんと聞こえる
実際に音を聞いてみて「解像度」という表現の意味がわかった気がしました。音全体が渾然一体な感じではなく、各楽器の音がきちんと聞こえる感じがするのです。
遮音性が高く雑音が少ないため、音への集中力が増すということもあると思います。
W80の実力を知るために、いつも聞いているバンド以外に普段はあまり聞いていないジャズやオーケストラなどの演奏を試聴しました。
慣れているバンドの曲からは聞き取れていなかった音が!これは本当にびっくり。こんな音が入っていたのかと。ジャズやオーケストラでは、特に管楽器の響きの素晴らしさを感じました。
iPhoneのライトニング対応ケーブルにリケーブルできる
これまで他社のイヤホンを使っていて、2回ほど買い替えました。買い替えの理由はケーブルの断線です。
イヤホン本体には問題がないのに断線で買い替えなくてはいけないというのは、ものを大切にする派としてはストレスでした。
W80はフラッグシップモデルなので、当然のごとくリケーブル可能。
iPhoneの最新機種にはイヤホンジャックがなく、従来のイヤホンの接続には変換コネクタが必要ですが、ライトニング対応ケーブルにリケーブルすれば、煩わしい変換コネクタが不要になります。
まあALO社の高級ケーブルが使えなくなったりとか、変換コネクタなしにするために失うものもありますけどね。
同梱のBluetoothケーブルV2でワイヤレスイヤホンにもなる
リケーブル可能というだけでも嬉しいのですが、W80にはBluetoothケーブルV2も同梱されており、ワイヤレスイヤホンとして利用可能。
ALO社の高級ケーブルではなくなるので音質は落ちると思いますが、ワイヤレスに求めるのは利便性だし、イヤホン本体が高性能なので、十分に高音質と感じました。
BluetoothケーブルV2そのものは、ちょっとごつい感じ。音量ボタンなどは、しっかりと押す必要があります。
逆にいえば少し触れたぐらいでは反応しないともいえるので、このあたりは好みかもしれませんね。
装着には慣れが必要、タッチノイズが気になる
気になったのはイヤホンの装着。一般的なイヤホンは耳の穴に入れるだけですが、W80はイヤホンの位置を合わせてフックで固定するような感じなので少し手軽さにかけます。
ただ他の高級イヤホンも同じような装着方法のようなので、これはW80に限ったことではなさそうです。慣れてしまえば難しくありませんが最初は戸惑うかも。
一般的なイヤホンのように耳に入れたら装着完了とはいきません。
本質的な部分で気になったのは、イヤホンケーブルを動かしたときに聞こえるガサゴソ音。調べたところ「タッチノイズ」というそうです。
じっとして聞いているときは気になりませんが、イヤホンを装着したまま歩いたりするとガサゴソという耳障りな音がします。カラオケのマイクを手のひらで擦るときのような音です。
BluetoothケーブルV2はこのような音はしません。歩きながら使うときはワイヤレスにすればよいかもしれません。
W80は音へのこだわりが強いプロやハイアマチュア向け
W80はイヤホンとは思えない高音質で、遮音性の高さもあって音楽や映画の臨場感や没入感が格段に向上することが実感できました。
繊細な音の違いがわかるミュージシャンなどには、このイヤホンの価値がさらによくわかるのではないでしょうか。実際、Westoneの製品を使っているプロのミュージシャンは多いようです。
自宅で音楽や映画をじっくりと楽しみたいというときには、没頭できてよいと思います。
一方で発売後2年が経過しても実売価格が17万円を超えるという高級さや、遮音性の高さから、カジュアルな利用には不向きな印象も受けました。
通勤のときなどは環境音が聞こえる方が降車駅のアナウンスがわかって便利だったりしますからね。
F1マシンが公道での利用に向かないのと同じで、W80のような高級機は音楽のプロやハイアマチュア向けではないかと思います。
このたびはレビューという形で、このような高級イヤホンに触れる機会をいただけたことは、個人的にはとても貴重な体験でした。ありがとうございました。