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JFEエンジニアリング株式会社からのご依頼で、栃木県の那須塩原クリーンセンター向けにミヤマクワガタのダンボールアート作品を制作しました。
巨大なインフラの設計・建設・運用などを行うJFEエンジニアリング株式会社
このたびダンボールアート制作の依頼をいただいたJFEエンジニアリング株式会社(以下、JFE社)は、発電プラントや橋梁など巨大なインフラを数多く手がけています。
正直なところ、私の理解の範疇を超える事業規模で一言では説明しきれません。詳しい事業内容はJFE社のウェブサイトをご覧ください。
私の作品を展示していただくことになった栃木県の那須塩原クリーンセンターは、ゴミの焼却やリサイクルなどを行う施設です。
ゴミの処理と聞くと、臭いや汚れを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、最新の再処理施設は、私の想像とかけ離れたものでした。
まず建物がきれい。外観だけを見てもゴミを扱っている施設ということはまったくわかりません。また普通のオフィスビルと同様に無臭です。
初回訪問時に施設を案内していただきましたが、処理能力が高く、焼却過程で煙突からはほとんど水蒸気は出ず、傍目には稼働しているかどうかわからないほど。
可燃ごみは高温で処理し、最終的に残ったスラグといわれるものは資材として再利用可能。
JFE社は、このような施設の設計から建設、運用までを行っています。これが事業のほんの一部ということで、私が全体像をつかめなくてもしょうがないでしょ?(笑)
数ヶ月かけてミヤマクワガタのダンボールアートを制作
JFE社から最初にお問い合わせをいただいたのは、2017年。メールで簡単なやりとりをした後、しばらくはご連絡がありませんでした。
再びメールをいただいたのは、2018年2月末頃。正式なダンボールアートの制作依頼でした。設置先は栃木県の公共施設。
ご担当者には私との打ち合わせのために名古屋までご足労いただき、また市のご担当者ともやりとりしていただきながら、お話を進めました。
最終的に地元で有名なミヤマクワガタをモチーフとすることに決定。CGでリアルな表現とキャラクターっぽい表現の原案を制作。
選ばれたのはリアルな表現。CGは原案を元に作り込みました。
ミヤマクワガタの制作に際しては、那須塩原クリーンセンターを訪問した際に本物をいただき「クワオ」と命名して愛でつつ、形状の参考に。(最後は山に返しました。)
本物をそのまま写すのではなく、過去作品のように少ない面数でリアルな形を表現することを目指しました。
経験上、特に広い場所で展示する場合は面の割り方が大きめの方が、立体としてより映えるということもわかっており、また大きめの面割りは私の作風でもあるのでちょうどよかったと思います。
CGソフトを使った設計を終え、実制作に取りかかったのは2018年の9月末頃。那須塩原クリーンセンターから送っていただいたダンボールも材料として使用。
再利用のダンボールだけで形を作り始めたものの、ヨレヨレで形にメリハリが出せず、強度も足りなかったため新しいダンボールを発注。樹木の一部とクワガタの制作に利用しました。
新しいダンボールで作った部分は、凹凸がはっきりしているのが写真でもわかりますね。
木を仮組み。天井につきそう(笑)
那須塩原クリーンセンターから送っていただいたダンボールの一部は、水に浸して3枚にはがして天日干し。これらを表面の装飾と裏側からの補強に使用。
このようにダンボールを小さく切ります。
そして木の裏側に木工用ボンドで、ひたすら貼り付け。同様の処理をクワガタにも施しました。
かなり地味で時間のかかる作業ですが、これが乾くとカチカチになり、強度が格段に向上するのです。今回は数年間の展示を想定しているため、補強は必須でした。
はがしたダンボールは表面の装飾にも利用。こちらも木工用ボンドで接着しており、さらなる増強の役割も果たしています。
クワガタも制作。
補強と美観向上のために、仕上げの段階でダンボール同士の継ぎ目に水張りテープを貼りました。なんか畳とクワガタって合いますね(笑)
大まかな形を作るところまでは順調でしたが、補強には多くの時間を費やし、できあがったのは2019年1月でした。
納品は2月に決定。作品を分割して送りましたが、特に木の土台の部分は巨大で、3辺の合計が2メートルを超えました。
佐川急便の「飛脚ラージサイズ宅配便」がこのサイズにも対応しており、幾つかはこちらを利用。これがなかったら、おそらく単身引越便みたいなサービスを使ったと思います(笑)
那須塩原クリーンセンターにミヤマクワガタのダンボールアート作品を設置
那須塩原クリーンセンターの所長から、荷物が無事届いたとのご連絡をいただいた翌日に再び現地入りし、作品の組み立てを開始。
こちらが完成したミヤマクワガタです!スチール製の台座を特注していただきました。ミヤマクワガタと木の部分は、結束バンドで固定しています。
水張りテープでダンボールの断面や継ぎ目をすべて隠したので、見栄えがかなり向上しました。
那須塩原クリーンセンターには、主に小学生が社会見学にやってきます。
館内各所には再処理施設に関するクイズが掲示されて、施設について学ぶわけですが、今回のミヤマクワガタは小学生達の目を引くためのシンボル的な存在。
小学生の平均身長は110cmぐらいとのことで、ミヤマクワガタは下から見上げることになると思います。中々、迫力があるんじゃないでしょうかね。
那須塩原クリーンセンターに運ばれてくるダンボールを使って、こんなものも作れるよということを見てもらうわけですが、子ども達がどんな反応を示すのか興味津々です。
最初にお問い合わせをいただいてから納品まで、およそ2年間、本件に関わらせていただきました。これほど長丁場のお仕事は初めてです。ようやく納品して安堵していますが、寂しさもあります。
このたびは広大なネットの海から私を見つけていただき、このような意義深いお仕事をご依頼をいただけたこと、様々な配慮をしていただけたことなど、JFE社と市の皆様には心より御礼申し上げます。
本当に楽しく、やりがいがあるお仕事でした。またご一緒できる日を楽しみにしています!