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CG業界にビッグニュース!なんと、あのGoogleがレンダーファームを始めるぞって話です!
Googleが同社のクラウドで映画の視覚効果の制作もできるためZync Renderを買収 -TechCrunch Japan
非公開: Googleがレンダーファームのために越えて欲しいAutodesk規約の壁 Lytro Cinemaがポスプロの世界を変えるかもしれない
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レンダーファームってなに?
いまや実写かどうか見分けがつかないぐらいに品質が上がったハリウッド映画のCGですが、それを作るためには膨大なCPUパワーが必要になります。
3DCGソフトで作ったデータは、最初はいわいがダンボールアートの設計段階の図として見せているような色も質感設定もされていない状態です。
例えば、こんな感じ。
そういった簡素なモデルに色をつけたり、質感や照明の設定をしたりして、それを最後に計算させるとこんな感じのができたります。その最後の計算のことを「レンダリング」といいます。
レンダリングは上の画像のような簡単なものなら、ノートパソコンで数分で終わりますが、ハリウッド映画のように超リアルで物量の多いCGは、すごく性能の良いマシンを何百台も使ってレンダリングされています。
本記事冒頭の画像はGoogleのデータセンタですが、このように何百台ものレンダリング用サーバが設置された施設を「レンダーファーム」と言います。
ハリウッド映画のCGを手がける会社の中でも大手は自社内にこのような施設を構えていますが、そこまで規模の大きなプロダクションは、そう多くはありませんし、繁忙期ともなれば大手のプロダクションでもレンダリング用のサーバが不足する可能性もあります。
そんなときに重宝するのがレンダーファームサービスです。
欧米にあって日本には無いレンダーファームサービス
アメリカには、RendercoreやRender Rocket、同じく、欧州にもドイツのRebus Renderをはじめ、複数のサービスがあります。しかし、日本には、現在のところ、欧米のようなレンダーファームサービスはありません。
理由の一つは制作費の違い。現在公開中の映画「トランスフォーマー ロストエイジ」は、制作費に約200億円を投じたそうです。
予算の配分はわかりませんが、こちらの映画はそもそも主役のロボット達がCGですし、かなりの予算をCGに割いていることが予想できます。
日本では大作映画でも制作予算は10億円程度。その差は歴然です。レンダリングのために多くの予算を割くことは難しいでしょう。
その他の理由としては、ソフトウェアの問題があります。例えば、CGを作るときに使うのはCGソフトの標準機能だけでは無く、プラグインなどを組み合わせることが一般的。煙や炎の表現を行うために、そのような特殊効果の得意なプラグインを追加します。
CGソフトは、Maya2014、Maya2015というように毎年のようにメジャーアップグレードが行われるし、プラグインも各バージョンに対応したものが出ます。
レンダーファームサービスを提供するには、複数の主要CGソフトやプラグイン(しかも、複数バージョン)を揃える必要があります。
これだけの費用を投じてレンダーファームサービスを始めたとしても、それを回収して大きな利益を上げるほどの需要は、いまの日本では期待できないのかもしれません。
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Zync Renderと従来のレンダーファームサービスとの違い
従来のレンダーファームサービスは、提供会社が自社にサーバを持っているものがほとんどでしたが、Zync Renderは、サーバの部分はAmazonのクラウドサービスを使っています。
クラウドサービスの利点の一つは、拡張性。突然、多くのサーバが必要になったときにも、クラウドであれば、すぐに提供可能。Amazonのクラウドサービスは、業界でも最大の規模。Zync Renderは、自社でサーバを持たずして、レンダーファームサービスを提供できているわけです。
いわいは本職がサーバ屋(ホスティング)なので、よーくわかるんですが、サーバというのは3〜4年も経てば、すぐに性能は陳腐化するし、ドンドン新しいものが出てくるし、稼働させていないときも維持費がかかったりするし、それを保有してサービスを提供するのはとても大変。
最近ではAmazonのようなクラウドの台頭により「クラウド・インテグレータ」といわれる会社が出てきました。
クラウドが出てくるまではホスティング(レンタルサーバ)のようなサービスを提供しようと思ったら、データセンタのスペースを借りて、サーバやネットワーク機器などを購入して設置し、そこにソフトウェアをインストールし、ネットワーク設定を行って…と、大変な手間がかかりました。
しかしクラウドを使えば、もうインフラは、自分で用意する必要はありません。クラウド・インテグレータは、サーバなどインフラの部分はクラウドを使い、構築・運用、サポートといった部分を代行します。インフラを自社で持たないサーバ屋みたいなものです。
従来型のインフラを持つタイプのレンダーファームサービスとZync Renderとの関係も、これまでのホスティング会社とクラウド・インテグレータとの関係に近い感じですね。
AWSに最適化されていたZync RenderをGoogleが買収した衝撃
それにしても驚いたのが、Zync Renderを、Googleが買収したということ。 Zync Renderは、自社のサービスをAmazon用に最適化していたのに、突然、Googleに乗り換えたわけです。
Zync Renderとしては、Googleに巨額で買収されるという利点がありそうです。Googleとしても、膨大なマシンパワーを必要とするレンダーファームサービスが大きな利益を生み出すという期待があるものと思われます。
Amazonとしては、すっかり出し抜かれた感じですが、独自のサービスをぶつけてくることも考えられるかも。
今後レンダーファームサービスにそのような競争が生まれて、価格が下がって来れば、日本のCGプロダクションも利用しやすくなって、CGの品質が上がったりとかしないでしょうか。
個人クリエイターにとっても、さらに使い勝手が良くなってくることにも期待したいところです。
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