【デジクリ転載 06】番外編 イベントで過去最大のダンボールアート作品を初公開!

2015 年 4 月から翌年 4 月までの一年間、「日刊デジタルクリエイターズ(デジクリ)」で連載していた記事を、何度かにわけて配信。

今回は 6 回目で、イベントで等身大アイアンマンを公開したお話です。

過去最大の作品をThe Foundryのイベントで初公開!

前回の続きとしてテレビ局から依頼をいただいたダンボールロボットのことを書くはずでしたが、予定を変更して最近のことにします。

過去の振り返りばかりでは面白くないので、これからは近況も織り交ぜていきたいと考えたためです。

今回は2015年7月1日に東京で開催された「The Foundry Summer Session 2015 in Japan」にて、私の制作したダンボールアート作品を展示していただいたお話です。

2013年にブログ上で作ると宣言していながら、思うように進められずにいた等身大のダンボールアイアンマンで、身長2メートルという過去最大の作品になります。

時間をかけて形にした思い入れの強い作品だったので、できるだけ多くの人の目に触れる場で公開したかったのですが、その願いが実現しました。

ポスト・プロダクション向けのソフトを開発・販売するThe Foundry

イベントはMODO Japan GroupとThe Foundryの共催で行われました。

The Foundryはイギリスが本社の会社です。映像制作やCGといったクリエイティブな分野の中でも、より狭く深い範囲のソフトウェアを扱っているのが同社の特徴です。

クリエイティブ系のソフトというとAdobeが有名。Adobeは、ウェブ、グラフィック、映像などの広範囲な分野に対してソフトウェアを提供しています。

Adobeはクリエイティブ業界全般に対して、非常に幅広くサービスを提供していますが、The Foundryは、主に「ポスト・プロダクション」という狭い市場をターゲットにしています。

ポスト・プロダクション(=ポスプロ)とは、ハリウッドのSF映画でお馴染みのVFX(高度なCG映像制作や動画合成など)の制作を行う会社のことです(ポスプロという用語が制作工程そのものを指すこともありますが、今回は会社という意味で使います)。

映画に登場する実在しない生物や乗り物、現象などは、すべてCGで制作されることもありますが、元となる実写に対して後からCGを含む様々な特殊効果を追加して映像を完成させることも少なくありません。

え?そんなところまでCGなの?!いまどきの映画やドラマの合成技術のすごさがわかる映像!

2013.09.06

Adobeも映像編集用のPremiere Proや映像合成用のAfter Effectsというソフトウェアを提供しており、それらは映画の世界でも利用されていますが、それらのソフトウェアだけでは、ポスプロのすべての要求には応えられません。

映画で求められる表現は特殊なものも少なくないため、既存のソフトウェアでは要求を満たせないことがあります。

アカデミー賞で視覚効果賞を含む11部門受賞という華々しい結果を残した映画「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」は、ニュージーランドのWetaというポスプロが映像制作を担当しました。

Wetaは現在も世界トップレベルの実力を誇るポスプロですが、ロード・オブ・ザ・リングの三部作の中で何万人もの兵隊が戦いを繰り広げるシーンがありました。

これらはCGで描かれましたが、CGと言えどもこれだけの群集を戦わせるという処理は当時の市販ソフトでは実現できず、独自にソフトウェアを開発しました。

既存のソフトウェアでは映像化が困難な場合は、ポスプロがソフトウェアを自社開発することも珍しくありません。

The Foundryは、ポスプロが自社開発したソフトを買い上げて改良を加え、市販ソフトとして販売することを得意としています。

Adobeが広範囲な利用者をターゲットとしているのに対して、The Foundryがポスプロの高度な要求に応える製品を開発していることがわかると思います。

Lytro Cinemaがポスプロの世界を変えるかもしれない

2016.04.13

MODOがThe Foundry傘下になってからも途切れない代理店とのご縁

私はMODO(モド)という3DCGソフトを愛用しています。最近9回目のアップグレードを果たしたMODOですが、一番最初のバージョンから使っています。

MODOはアメリカのLuxologyという会社が開発したソフトウェアでしたが、途中でThe Foundryの傘下に入りました。

それまでThe Foundryの製品ラインナップにCGソフトはなかったため、MODOが加わったことでポスプロ向けのサービスが強化されました。

MODOだけを主力製品としていたLuxologyという独立系の会社が、より広範囲にサービスを提供するThe Foundryという大きな会社の傘下に入ったことで、開発の速度が上がり、MODOがより良いものになっていくことは大歓迎でした。

一方、非常にユーザーフレンドリーで趣味ユーザーも大切にしてくれていたLuxologyが、規模の大きなThe Foundryの傘下に入ったことで、完全にポスプロ向けの製品となり、価格的にも趣味ユーザーの手に届かないものになってしまわないかという不安もありました。

しかし今のところ、MODOはLuxologyの良さを残すものになっていて安心しています。

特に日本においてはLuxologyがThe Foundryの傘下に入った後も、同じ代理店がMODOのサポートを続けてくれているということが大きいです。日本のユーザーは安心してMODOを使い続けられています。

私はMODOの古参ユーザーの一人として、日本の代理店とは長くお付き合いさせてもらっていますが、The Foundry傘下になった後も良好な関係が続いており、本当に感謝しています。

MODO JAPAN GROUPにインタビュー記事を掲載していただきました

2015.05.20

一か月半かけて作り上げた等身大ダンボールアイアンマン

2013年にブログで初めて公開したダンボールアート作品がアイアンマンでした。ネット上での反応がとても良く、ダンボールアートにのめり込むきっかけとなりました。

そのときに作ったアイアンマンは顔の部分だけでしたが、全身を作ると意気込んでブログでもその過程を公開していました。

しかし先に進められないままに時間が流れ、休止状態となっていました。ただ宣言したからにはどうしても形にしたいという思いを、ずっと持っていました。

そして2015年の初めに6月末までに完成させるという期限を設定しました。理由はアイアンマンが主役となる「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」という映画の公開が同年の7月となっていたからです(笑)。

5月の後半から一か月ほどかけて設計を行い、6月後半になんとか形にすることができました。過去に等身大のアイアンマンを作っていたときは、制作過程をブログで公開しながらも途中で進められなくなり、残念な気持ちがあったため、今回は途中経過は公開せず、黙々と作り続けました。

ダンボールは、いつもお世話になっている工房で高性能なレーザーカッターを借りて切りましたが、高速なレーザーカッターを使ってもすべての部品を切り出すために6時間以上かかりました。

縦30cm、横60cmという大きさの板ダンボールを合計で50枚ぐらいは切ったと思います。そりゃ6時間以上かかりますよね。部品点数のあまりの多さから、すぐに組み立てに取り掛かるのをためらってしまいました(笑)。

完成した等身大のアイアンマンは、これまでに作ったダンボールアート作品の中でも最大のもので、もっとも多くの時間をかけて形にしました。

もっと磨きをかけたいところもありましたが、自らに課した6月末という期限を守り、完成させることを優先しました。改良は後からでもできるので、まずは形にしたいという気持ちでした。

等身大ダンボールアイアンマン制作舞台裏(前編)

2015.07.18

等身大ダンボールアイアンマン制作舞台裏(後編)

2015.07.21

The Foundry Summer Session 2015 in Japan 東京会場で作品を公開!

作品の完成直後に開催予定となっていたのが「The Foundry Summer Session 2015 in Japan」というイベントです。

このイベントは、MODOの最新バージョンであるMODO901の製品紹介を中心としたもので、東京、九州、大阪、名古屋という四大都市で開催されます。

ダンボールアートはMODOを使って設計しており、活用事例の一つとして会場に展示させてもらいたいとMODO JAPAN GROUPに相談したところ、快諾していただきました。

私は中部圏に住んでいるので、名古屋会場でのみ展示するのであれば楽なわけですが、東京で開催されるイベントがもっとも規模が大きく、一念発起してこちらの会場まで作品を持ち込みました。

大変だったのはダンボールアート作品の輸送。2メートルもある作品なので、分解しても手荷物として運べる大きさのものではありません。

宅急便の場合は、壊れてしまわないかという心配がありましたが、他に選択肢はありませんでした。

イベント当日はあいにくの雨です。ダンボールは紙なので、湿度の高い日は苦手です。

結果として輸送時に一箇所だけ破損した部分がありましたが補修が効く部分だったので、裏側からガムテープを貼って補強。

当日の模様は速報としてTwitterとFacebookに流し、イベント翌日にはブログで詳細を書いて公開したところ、大きな反響を得られました。

等身大ダンボールアイアンマン完成!The Foundryのイベントで初公開!

2015.07.02

今回は番外編として予定を変更してダンボールアート展示のお話を書きましたが、次回は前回の続きとしてテレビ番組で使われたダンボール作品についてお伝えします!

本記事は、2015 年 7 月 8 日に日刊デジタルクリエイターズに掲載された記事に執筆者本人が加筆・修正を行ったものです。








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ABOUTこの記事をかいた人

ダンボールアーティスト/ブロガー。会社員だった2014年にテレビ局、ディズニーからダンボールアート制作の依頼を受ける。2015年からは独立し、ダンボールアート制作、ライティング、プロダクトデザインなど多方面で活動中。詳しくは、プロフィール・実績をご覧くださいまし。

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