どんな分野でも闇雲に取り組むよりプロの指導に従った方が、短期間で良い結果が得られます。
ブログ記事の質を向上させたいなら、文章作成のプロに学ぶのが一番です。
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月間3000万PV超、多いときには1日で15記事も書くナタリーの記者
「ナタリー」というニュースサイトがあります。ウィキペディアによると2013年7月時点での月間記事配信数は約2000本で、月間ページビューは3200万という集客力の強いサイトです。
ナタリー
コミックナタリーの元編集長で現在はナタリー全体のプロデュースをされている唐木さんの著書「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング」に、短時間で質の高い記事を書くための方法が詳しくまとめられていました。
ナタリーの記者は多いときには1日で15本もの記事を書くそうです。
映画や音楽、お笑いなどのニュースを伝えることが主となっているナタリーは、文章量の少ない記事が多いものの、メディアとして質の高い記事を書くことが必須であり、素人ではこんな本数の記事は中々書けません。
一体どうすればプロの記者のような文章力を身に付けられるのでしょうか。
「構造的記述」ができれば、まずは及第点
唐木さんは良い文章の基準を「完読される文章」と設定しています。
美味しいラーメンと同じと例えられていますが、とてもわかりやすいですね。
そんな文章を書くための訓練方法が「構造シート」を用いた文章作成です。
構造シートの書き方はぜひ本書を手にとって確認して欲しいのですが、要点は次のとおりです。
- 書きたい話題を箇条書きにする
- 事実を集めてトピック化する
- 5W1Hに沿って事実を揃える
- 欠けている情報を取材する(調べる)
- 文章の主眼を定める
- 文章の骨子を立てる
情報を集めて整理し、主題を決めてそこから外れるものは削り、情報を並べ替えて文章の流れを作るという一連の作業を紙に書いて行います。
このようにして作った記事の設計図を元に文章を書いていくのです。
最初は時間がかかりますが徐々に慣れ、最後には頭の中で情報の整理や、これから書く文章の組み立てができるようになるんだそうです。
確かに車の運転でも最初は考えながら行いますが、慣れてきたら自然に体が動きます。
文章も反復練習によって基本が身に付くと、一連の作業が短時間でできるようになるんでしょうね。
このような方法で事実とロジックがしっかりした文章が書けるようになったら、それだけで70点ぐらいの文章になるそうですが、そこからが本当の始まりです。
70点を100点に近づけていく道のりが長い
どんな世界でも最初は伸びしろが大きいものですが、プロになるまでには時間がかかります。
テニスのルールを覚えて、楽しめるようになるところまではすぐに到達できても、大会で勝てるようになるためには心技体の部分を磨かねばならず、容易ではありません。文章を書くのも同じことです。
構造シートが頭の中で書ける程度にまで基礎力が付いてきたら、そのあとは読みやすい文章を書くためにひたすら表現力を高めていきます。
本書の中でも77項目中、最初の15項目までは良い文章の考え方や構造シートの書き方などの基礎について説明していて、残りの62項目はさらに文章力を高めるための方法が書かれています。
例えば次のような内容です。
- 音読して同じ音韻や発音しづらい語句の連続を確認する
- 漢字と仮名のバランス(量)に気を付ける
- 「とのこと」「いわれている」などの伝聞表現は腰を弱くする
- 固有名詞はコピペで誤字防止
- 修正後は全体を読み直してバランスを見る
誤字脱字や事実誤認がないという基本を踏まえつつ、完読される文章を書けるようになるために腕を磨くのです。
プロ並みの文章を書くの困難だが不可能ではない
本書を読んで文章を書く上での基本的な考え方のほか、表現についての細かなルールがわかりました。
文章を書くときに語感が良くないなど感覚的な理由で気を付けていたことは幾つかありましたが、それがなぜ駄目なのか、何が正しいのかが具体的に書かれていたので、とてもスッキリしました。
ブログ記事はタイトルが最重要などと言われます。
Googleなどで検索したときに、一覧に出てくるのはブログ記事のタイトルが目立たないとブログを訪問してもらえないからです。
その考えに間違いありませんし、本書の中でもタイトルの書き方について触れられています。
しかしタイトルは良くても肝心のブログ記事が駄文なら、次は訪問してもらえないかもしれません。
ナタリーに入社した新人は個人差はあるものの、およそ2年も経つと即座にテーマと骨子をつかんで文章を書き始められるそうです。
毎日ひたすら記事を書き、編集長の厳しい目で確認をされてこれだけの時間がかかるのですから、本業の片手間で書いている人が文章力を高めるのは容易ではありません。
しかし正しい訓練方法を踏まえて書き続ければ、時間はかかってもいずれはプロ並みに文章がかけるようになるかもしれません。
少なくとも自己流で続けるよりは、きちんとプロの方法を学ぶ方が効率は良くなります。
「新しい文章力の教室」は良質なブログ記事を短時間で多く書きたい人をはじめ、文章力を高めたい全ての人におすすめの良書です。
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